Service 08

土地家屋調査

土地家屋調査士のお仕事

このページでは、提携する原土地家屋調査士事務所(当社代表の個人事業)の業務についてご紹介します。
 土地家屋調査士というのは、不動産に関わる仕事をしていない方にはほとんど馴染みのない職業ですが、端的には、土地や建物の表題登記および土地の境界の専門家です。表題登記というのは、どのくらいの広さの土地がどのように使われていて、そこにどのような建物がいつ建てられたのか、というような公共性のある登記情報で、変更があった場合には、原則として所有者に報告の義務があるものです。
 従って正確に報告するために、通常は土地家屋調査士が代理人となり、実際の状況を測量等で調査・確認してから登記所に申告することが一般的です。 (所有者本人が申告しても良いのですが、その場合、基本的に登記官が現地現物を確認しなければならず、特に土地の面積が関わる場合には測量が必要となるので、実務的にはいつ完了するか分からない、ということになります)
 ちなみに、不動産の登記に関して、土地家屋調査士の業務と少し似ていつつも対照的なのが、司法書士の主な業務である、権利の登記に関わる代理であり、その主なポイントは、(地面師などの詐欺に遭わないよう)依頼者の権利を守ることにあります。 (従って、権利が守られないリスクが低ければ、新旧の所有者が行ってもおかしくはありませんし、手続きとしてはそれほど難しくありません。)

確定測量

 土地家屋調査士の仕事の中心は、なんといってもこの「確定測量」で、単に土地を測量するだけではなくて、隣地所有者の同意を得て、土地面積を確定させることが必要です。
 この隣地所有者の同意というのは、平成17年以降に得られた証跡を登記所が求めるようになり、実務的には手間がかかるようになった一方で、確定測量を経て作成された地積測量図は信頼できる(隣地とのトラブルが無い)と言えるようになりました。
 業務としては、対象土地と隣地の登記情報、地図・公図、地積測量図、道路台帳や道路位置指定図などの資料を入手・確認した上で、現地において境界杭や境界標を探します。 境界杭や境界標があって資料と整合していればラッキーですが、無かったり、あっても整合していない場合は大変です。土地の境界がどこにあるのか、隣地やそのまた隣地の資料や状況、面積などから合理的に境界線を探します。
 境界線が推定できたら、隣地所有者の立ち合い・書面確認をお願いして同意を得て、筆界確認書に署名捺印をいただく、というのがまたひと仕事です。特に、官民境界については、市役所の担当部門の立ち合いが必要になり、完了までに時間がかかりがちです。
 確定測量が完了したら、その成果を踏まえて、必要に応じて、境界杭や境界標を設置したり、地積更正登記や地目変更登記を申請したりします。

建物の表題登記(新築・改築)

 測量が必要な土地の登記に比べると、建物の登記はずいぶんとシンプルです。
 新築の場合には、建築図面などがあるので、それと実際の建物が整合しているかを確認します。計測は必要ですが、レーザー距離計のような簡単なもので充分です。 新築の場合に表題登記がされないことは今どきまずありませんが、リフォームなどを行って、床面積が変わった場合にも変更登記が必要であるのは、残念ながらあまり認識されておらず、それで中古の建物が売買される際になって、実際の床面積が登記と異なることが問題になることが少なくありません。金融機関にもよりますが、大きく異なると住宅ローンやアパートローンの障害となります。
 増築の際の図面などは残されていないことが多いので、計測して図面(といっても建築士の作成する建築図面などに比べるとごく簡単なものですが)を作成して手続きを進めることになります。

その他の表題登記

 土地に関する登記でも、合筆や土地全体の地目変更は、測量が必要ないので簡単です。
 しかし、分筆は確定測量の手続きを経て、地積測量図を作成して申請します。土地の一部の用途が変わった場合にも、(登記に反映させるべき場合には)その部分を分筆して地目変更を行わなければなりません。
 建物については、滅失登記が実際に発生するお仕事で、手続きは比較的簡単です。

土地境界トラブルへの関与

 土地の境界に関するトラブルの解決に貢献するのも、土地家屋調査士の重要な役割です。
 土地の境界のトラブルというのは、「筆界」と「所有権界」のどちらか、または両方に意見の不一致がある状態です。
  「筆界」というのは、公に定められた土地の境界であり、境界標が亡失していたり、公図(明治時代の地租改正に際して作成されたものがベースで、現在の測量技術で世界測地系に基づいた座標値を含んで作成される「地図」に比べて、信頼性が格段に劣る)が不正確だとしても、どこかに確固として存在するはずのものです。 土地の所有者は、登記に記録されている通りなのだから、筆界がすなわち所有権の境界だろうと思うでしょうけれども、それがそうもいかないのです。
 典型的なケースが、長年越境していて、時効取得が考えられる場合です。筆界については明らかであり合意されていても、越境部分の所有権について、時効取得が可能なのか、または時効が成立しない要因があるのか、といった問題になります。(もちろん時効取得が認められた場合には、その部分は分筆して所有者を登記すべきであり、それによって筆界と所有権が一致することになります。) 一方で、筆界と所有権界の一致については合意されているが、その位置が明らかでなくトラブルになっている、というケースもあるでしょう。

 土地の境界に関するトラブルの最終的な解決手段は民事訴訟ですが、費用も時間も掛かります。 そのため、より容易な解決手段として、筆界については、「筆界特定手続」が用意されています。法務局に筆界特定手続を申請すると、登記官が筆界調査委員の意見を踏まえて、筆界の位置(またはその範囲)を特定します。土地家屋調査士は、この申請の代理人として、土地の測量を行い、筆界として考えられる線を資料にまとめて申請資料を作成したり、その前段階として相談に乗ったりします。
 一方で、所有権界が主な争点である場合には、ADR(裁判外紛争解決手続)があります。ADRは、弁護士と法務大臣の認定を受けた認定土地家屋調査士が共同で受任し、法律と登記の両面から、関係者の双方が納得できる和解による解決を図ります。(和解によって筆界が決まることはないので、筆界も併せて明らかにする必要がある場合には、土地家屋調査士が調査した上で、必要な分筆等の手続きを行うことになります。)  筆界特定手続とADRのいずれも、その結果に納得がいかなければ、民事訴訟を起こすことが可能です。(とはいえ、筆界特定手続で登記官と筆界調査委員が調査した結果は然るべく尊重されることが予想されます。)

 なお、筆界確定訴訟というのは、裁判としては非常にユニークで、筆界という公のものの確定が求められているという性質から、通常の民事訴訟とは異なり、裁判所が請求を棄却することができず、和解で終了することもできず、(通常の民事訴訟では、原告被告のいずれの主張とも乖離した判決を下すことはできないのに対して)原告被告のいずれも主張をしていない筆界線を判決で確定することができ、また(通常の民事裁判の判決は当事者にのみ効力を持つのに対して)その判決は世間に対して効力を持ちます。あまりに特殊なので、行政訴訟の一種だとする学説もあるそうです。
土地境界トラブルの解決方法
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